例会報告(2012年)


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例会報告アーカイブ:2012年

12月総会
と   き : 2012年12月8日 (土) 15:30 ~ 16:30
ば し ょ : 横須賀市自然・人文博物館 講座室・第1学習室
さ ん か : 25名
ないよう: 「石蕗(つわぶき)」128号および「かまくらちょう」82号の配布
中村代表の挨拶の後、柳本例会担当幹事の進行の元、行事活動報告、会計報告、特別会計報告、会計監査報告が満場一致で承認され、中村代表より2013年度の行事と事業計画(案)とそれに伴う年間の例会回数の削減の説明がありました。
来年度より、今まで月1回行ってきた例会を以下のように改めます。
1)雑談方式のサロン(3月と7月)
2)フィールド例会(従来の調査会を発展させた形式、5月と9月)
3)例会A(一般公開講演、ジュニア例会、情報交換、2、4、8月)
4)例会B(従来通りの例会6月と10月)
5)総会、納め会(12月)に方式を変更し、若い会員が出席しやすい会合を目指す。
それにより1月と11月には例会は行わないことになります。
2012年度は、毎年行われている調査会や例会のみではなく、ジュニア例会や一般公開講座など初の試みを盛りこむなど様々な活動があった三浦半島昆虫研究会でした。来年も通常の例会やジュニア例会、一般公開講座に加えフィールド例会や調査会、サロンがありますので、様々な方の参加を期待しています。
また、幹事及び会計監査の選出について、事務局の主務は谷田幹事に、会計の主務は小畑幹事に、また、情報担当幹事には、新たに内舩幹事を加える案が提示され、それぞれ承認されました。2013年度の会計予算(案)では、年度中に会費を納めて頂かない方がいると2015年くらいに破綻をきたす恐れがあるので、会費納入に協力して頂きたいとの説明があり、共に承認されました。

12月総会の様子

12月総会の様子

 その後若干の時間が有り、初めて例会に出席された小口さんや久しぶりに顔を出された高村さん、高桑さん、大場さんからの挨拶を頂きました。
小口さんは「逗子に移ってから2年がたち、そろそろトンボ類の調査をしたい」とのこと、高村さんは「先頃話題になったトコジラミ(ナンキンムシ)に京都の宿泊先や海外で被害に有った」とのこと、高桑さんからは「職場が変わったが、以前の仕事の延長線上で問い合わせや打ち合わせで、従来と変わらない忙しさである」とのこと。大場さんからは「相変わらずホタルのことで駆け巡っているが、ホタルなど居ないと思った香港で出会ったことは驚いた」などの話が有りました。

12月納め会
と   き : 2012年12月8日 (土) 17:00 ~ 20:40
ば し ょ : 横須賀市文化会館「旬香」
さ ん か : 26名
ないよう: 2012年の納め会は横須賀市博物館での総会の後、場所を博物館前の「旬香」に移し、行われました。
中村代表の挨拶、石渡顧問の音頭で乾杯をし、テーブルに並べられたご馳走を頂きながら出席者の関心は、大量に運び込まれた本や雑誌類、小箱に納められた蝶類の標本の数々でした。従来の倍以上の品物が会員各位の協力で集まり、展示するテーブルも足りなくなり、追加の机を急遽しつらえて並べるほどでした。
会場のあちこちで、ビールやお酒が汲みかわされ虫談議に一とおり話が弾み、四国の浦野会員よりはるばる今治から送られたミカンが全員に配られました。
会場との約束で時間もないことから、誰からともなく「ジャンケンを始めよう!」との声がかかり、飯田幹事と刈屋幹事、それに小畑幹事も加わり品物が読み上げられ、欲しい本や小箱に名乗り出た人たちで、ジャンケンが始まりました。
出展された物の多さに比例して、ジャンケンもヒートアップし、ゼフィルス類やギフチョウの小箱をゲットした人は喜びいっぱいでした。時間ギリギリまでジャンケンの闘いは続き、大成功の内に2013年の各位の虫運を祈念し終了しました。

納め会で希望の本に手を挙げる

納め会で希望の本に手を挙げる

納め会後の記念撮影

納め会後の記念撮影

 来年も元気に三浦半島昆虫研究会を盛り上げていきましょう!

11月例会(一般公開例会)
と   き : 2012年11月11日 (日) 14:00 ~ 16:30
ば し ょ : 横須賀市自然・人文博物館 講座室・講堂
さ ん か : 27名(会員外5名)
ないよう: 当会会員の久保浩一さんが、「生態写真から垣間見る身近な昆虫の多様性」と題し、氏の観察フィールドである横浜市円海山域を中心に撮影された膨大な生態写真を使って、生物の多様性を解説された。中でも、イスノキにモンゼンイスアブラムシが作る虫えい(ゴール)はどう見ても木の実にしか見えないもので、実物も回覧され、参加者の興味を引いた。また、エノキに依存する昆虫とその寄生虫、鳥、クモ類など幅広く食物連鎖の解説…と続いた。
  情報交換会では、
   ・10月~11月の採集・観察の記録報告(定点観察や、採集旅行の報告など)
   ・セミの終鳴きの報告
  など多岐にわたる報告がありました。

10月例会
 と   き : 2012年10月13日 (土) 17:00 ~ 19:30
 ば し ょ : 逸見みんなの家 研修室 (横須賀市西逸見町ウェルシティ内)
 さ ん か : 24名(会員外6名)
 ないよう: 講演は、「海岸松林とカミキリムシ-海岸保安林における松くい虫被害の実態と松のマダラカミキリの行動について」と題し、住化グリーン株式会社、[財]日本緑化センター特任研究員の阿部 豊氏に講演していただいた。
 「松くい虫(マツ材線虫病)を予防する農薬の空中散布は、近年は様々な制約により中止となり大被害発生の例が多くみられる。空中散布中止の影響で、マツノマダラカミキリが発生し、健全だった海岸の松林が枯れ林となり、海岸保安林を失った経済的損失と災害発生のリスク増大などが考えられる。農薬の空中散布は、生物多様性や住民の健康を害するものと誤解されやすい。しかし、実際はマツノマダラカミキリが当年枝を食するという生態から、最小限の薬量を樹冠にのみ散布するし、標的外昆虫への影響を最小限とし、人の健康に影響する量が散布区域周辺へ飛散はしないことが実証されている。したがって、マツ材線虫病を防除する対症療法として最も有効なのは空中散布を中心とした総合防除である。」など興味深いお話でした。
  情報交換会では、
   ・9月~10月の採集・観察の記録報告(定点観察や、採集旅行の報告など)
   ・「チョウ展」観覧の感想、蝶の飼育の報告
  など多岐にわたる報告がありました。

 9月例会(ジュニア例会を含む)
と   き : 2012年9月9日 (日) 13:00 ~ 16:30
ば し ょ : 横須賀市自然・人文博物館 講堂
さ ん か : 12名(ジュニア例会)~ 20名(例会)
ないよう: ジュニア例会、講演「イモ虫と植物の深い関係」(中臣謙太郎さん)、情報交換会
 今年度から三昆研ではジュニア会員向けの「ジュニア例会」を開催し、今回は第2回目で9月例会と同日の13時~14時に行いました。ジュニア会員のほか、三昆研会員で12名が参加しました。協力事業の基礎昆(博物館教室『基礎から学ぼう昆虫学』:2012年は5月27日から4回開催し8月26日に終了)の結果報告を行い、続いて6月10日に行われた半島内調査会(鎌倉十二所果樹園周辺)と7月28~29日の県外調査会(群馬県片品村武尊山周辺)で撮影された昆虫類の写真をスライドに投影し報告・解説をしました。最後にジュニア会員の今夏の活動報告を聞いてジュニア例会を終わりました。
 9月例会は20名が参加し、講演は当会会員で蛾類を研究されている中臣さんの「イモ虫と植物の深い関係」という演題でおこなわれました。近年DNAなどを用いた植物の分類の見直しがされています。これにより、従来、異なる科に属する植物を広く食べるとされていた蛾について、植物側の分類が見直された結果、その蛾が一つの科の植物を専食することが判明した例を挙げ、昆虫の方が人間より以前から植物の分類を正確に「分かっていた」という興味深いお話をしていただきました。
 情報交換会では、
  ・8月~9月の採集・観察の記録報告(定点観察や、採集旅行の報告など)
  ・セミの初鳴き、終鳴きの報告
 など多岐にわたる報告がありました。

8月例会(一般公開例会)
と   き : 2012年8月12日 (日) 14:00 ~ 17:30
ば し ょ : 横須賀市自然・人文博物館 講座室・第1学習室
さ ん か : 66名
ないよう: 企画展示講演「チョウたちは変わったのか~三浦半島のチョウの35年~」(中村進一さん)、情報交換会
 三浦半島昆虫研究会が発足し、その翌年「三浦半島の蝶」を横須賀市博物館の研究報告で発表(1978年)してから30年以上が経ちます。今、この半島に生息しているチョウたちがその当時からどのように変化したかの比較検討が、博物館で展示中(講演当時)の「三浦半島のチョウ」のテーマであり、この講演のテーマです(以下要旨)。

講演会「チョウたちは変わったのか」

三浦半島の定義:比較検討に際して、これまで漠然としていた三浦半島の北部ラインを決めました。
三浦半島に記録された種:84種が記録されています。うち外来種が7種、偶産種が9種で、残りの68種が三浦半島の在来種(自然分布種)です。
在来種の変動・減少:68種の中に、減少した種が26種あり、その内14種が絶滅種です。その内訳は、ツマグロキチョウ、シルビアシジミ、メスグロヒョウモン、スミナガシ、アサマイチモンジ、オオムラサキ、ミヤマセセリ、ギンイチモンジセセリ、ホソバセセリ、オオチャバネセセリと、前報告時既に絶滅していたコツバメ、ウラギンスジヒョウモン、クモガタヒョウモン、ウラギンヒョウモンです。絶滅や減少の原因としては、荒地(放置地)や湿地、手入れの行き届いた明るい雑木林などの減少や消失や、都市化に伴う乾燥化、気象変動などが挙げられます。
増加した種:増加した種は7種です。うち温暖化により北上した種としてナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、クロコノマチョウの3種で、これらの増加の要因として、気温の上昇、公共施設の緑化、ガーデニング効果などの影響が挙げられます。
健在種の種数:上に挙げた種以外の残り35種が健在種です。
現在見られる種数:現在三浦半島で見られるチョウは、減少種12種と増加種7種、健在種の35種に、外来種2種を加えて56種です。

中村進一さん

これからの注目3種:①ゴイシシジミ。近年ほとんどその姿が見られなくなったが、丘陵や緑地公園等のアズマネザサやススキの茂った場所での発見が期待される。②ヒオドシチョウ。かつては6月初旬頃に新成虫が見られたが最近ほとんど見られないので、三浦半島内で発生しているか、丘陵や緑地公園等で樹液の出る木や果樹、路上の汚物などでの発見報告を待ちたい。③ジャノメチョウ。前報告後、突然と増えたが、最近はその頃の勢いがなく、丘陵緑地の草地や空き地のススキ原での観察を続けたい。

講演会終了後の8月例会の様子

7月例会
と   き : 2012年7月14日 (土) 17:00 ~ 19:30
ば し ょ : 逸見みんなの家 研修室 (横須賀市西逸見町ウェルシティ内)
さ ん か : 22名
ないよう: 研究発表「シミ目昆虫の生物学 ― 昆虫類の適応放散」(増本三香氏)、情報交換会
 北里大学一般教育部で助教として教鞭をとられる演者が、研究テーマの一つ「シミ目」について、昆虫類の進化(陸域環境への適応)の背景からシミの世界(分類や胚発生)を熱く、わかり易く説明された。シミ類は雑食で湿気さえあれば数十回も脱皮し数年も生き、体を覆う鱗粉や体毛は脱皮のたびに復活する興味深い生態をするとのこと。また、世界で約90属400種、日本には「わずか」8属14種が棲息しているとの説明に、会場からは「そんなに(多くの種が)いるのか(知らなかった)!」との声が上がり、新しい昆虫の世界を垣間見る時間となりました。

講演のようす

 情報交換会では、
 ・博物館で始まった「三浦半島のチョウ」展の紹介
 ・ニイニイゼミ他のセミの初鳴きの状況
 ・チョウの複眼を、生きたまま撮影している話
 など多岐にわたる報告がありました。

セイヨウシミ Lepisma saccharina

6月例会
と   き : 2012年6月9日 (土) 17:00 ~ 19:00
ば し ょ : 逸見みんなの家 研修室 (横須賀市西逸見町ウェルシティ内)
さ ん か : 20名
ないよう: 研究発表「2008年~2012年の蝶の初見・終見記録」(飯田博茂さん)、情報交換会
 三浦半島で2月~5月に見られる蝶28種の最近5年間の初見記録の報告でした。キタテハなどの成虫越冬の蝶やトラフシジミなどの記録が少ない蝶は除き、三昆研会員からの各種報告(ML、例会での情報交換など)や発表者自身の観察記録からまとめられたものでした。
 発表内容は、「2009年は、1月~5月の平均気温が最近5年間の平均気温よりもいずれも高く、半数以上の17種が過去5年間で最も初見日が早かった。逆に2012年は1月~4月の平均気温がどの月よりも平均より低く、初見日が早かった種はいなかった。2008年は3種、2010年は6種、2011年は5種が早かった」というもので、「やはり蝶の発生は、気温の影響が最も大きいようである」と分析しました。

研究発表のようす

 情報交換会では、
  ・アゲハ類他の飼育状況の報告
  ・5月~6月の採集・観察・研究の状況報告(定点観察や県外旅行の報告など)
  ・タイの採集旅行の報告
 など多岐にわたる報告がありました。

情報交換会のようす

5月例会(一般公開例会)
と   き : 2012年5月13日 (日) 14:00 ~ 16:30
ば し ょ : 横須賀市自然・人文博物館 講座室
さ ん か : 19名(一般の当日参加1名を含む)
ないよう: 研究発表「事例報告・チョウのモニタリング」(鈴木 裕さん)、情報交換会
 横須賀市野比は、日本自然保護協会の「モニタリング1000調査」のチョウの調査地の一つに選定されていて、2008年夏季より三昆研が調査を行っています。
 研究発表は、三昆研の「モニタリング1000調査」を担当する鈴木さんによる2011年の調査結果のお話で、4月~11月まで月2回の調査を実施し、39種、866個体を記録しました。ちなみに、最も記録が多かったチョウの上位3種は、ヤマトシジミ(186個体)、イチモンジセセリ(111個体)、アオスジアゲハ(84個体)でした。

研究発表のようす

 情報交換会では、
  ・新入会員の自己紹介(興味のある虫の分野など)
  ・4月~5月の採集・観察の記録報告(定点観察や、採集旅行の報告など)
  ・チョウの初見の報告
 など多岐にわたる報告がありました。

情報交換会のようす

 

4月例会(ジュニア例会を含む)
と   き : 2012年4月8日 (日) 13:00 ~ 16:00
ば し ょ : 横須賀市自然・人文博物館 講堂
ないよう: ジュニア例会、研究発表「カブトムシの移動をしらべたお話」(内舩俊樹さん)、情報交換会
 今年度から三昆研ではジュニア会員向けの「ジュニア例会」を開催することにしました。第1回のジュニア例会は4月例会と同日の13時~14時に開催しまし た。ジュニア会員のほか、それ以外の会員や昆虫に興味のある親子連れの方々など21名が参加しました。この日に合わせて担当会員が準備した、生きたチョウ の幼虫やさなぎ、成虫をみんなで見たほか、参加者どうしで昆虫体験談を語り合ったり、三浦半島昆虫研究会の活動について説明を聞いたりしました。

ジュニア例会のようす

 4月例会は28名参加し研究発表は横須賀市自然・人文博物館の学芸員でもある内舩俊樹さんのお話で、ジュニア会員も引き続き聞いていました。博物館 では2009年から三浦半島でカブトムシの移動調査を行っていて、横須賀市内の様々な方に協力いただきながら、これまでに500匹近くのカブトムシにラベ ルを付けて放しています。放したカブトムシは簡単には見つかりませんが、発見されたカブトムシは大体10日以内で見つかったり、ときには5 ㎞を超える移動が記録されたり、三浦半島におけるカブトムシの生態が少しずつ明らかになってきました。

カブトムシのお話

 情報交換会では、
  ・新入会員の自己紹介(興味のある虫の分野など)
  ・4月~5月の採集・観察の記録報告(定点観察や、採集旅行の報告など)
  ・チョウの初見の報告
 など多岐にわたる報告がありました。